探偵につけられたことで生じる精神的苦痛は、どのように法的に扱われるのでしょうか？
この状況に置かれた時、どう対処すれば良いのか、混乱や不安を感じている方も多いはずです。
この記事では、探偵による追跡が精神的苦痛を訴える根拠となるかどうかを法律的観点から解説し、自身を守るための具体的な対策を提案します。
1.探偵をつけられたら訴えることはできるのか？
探偵につけられた経験は、多くの不安や疑問を抱かせます。
特に、「訴えることができるのか」という点は、法的な見地から見ても非常に重要です。
探偵が行う調査が合法か違法かによって、訴えることができるかどうかが変わってきます。
1-1.合法の調査をしていた探偵を訴えることはできない
探偵が行う調査活動が法律の範囲内である場合、その行為自体を理由に訴訟を起こすことは困難です。
例えば、ある人物がパートナーの不倫を疑い、探偵に依頼して公の場での行動を監視させた場合、この行為は一般的に合法です。
探偵が公道からパートナーの公の行動を観察している限り、これは法的に許可された行為であり、この基に訴訟を起こすことはできません。
したがって、探偵の調査がこれらの法的基準を満たしている場合、その調査による精神的苦痛を理由に訴訟を起こすことは非常に難しいと言えます。
合法的な調査に対して感じる不快感や不安は理解できますが、法的には認められる行為であるため、留意する必要があります。
1-2.違法な調査をしていた探偵なら訴えることができる
探偵が行う調査が法律に違反している場合、その探偵を訴えることは可能です。
違法な調査とは、以下のような行為を指します。
- プライバシーの侵害：個人の住居や私有地に不法に侵入し、盗聴や隠し撮りを行うなどの行為が含まれます。
- 違法な情報収集方法：電子通信の傍受、郵便物の不正開封、個人のデジタルデバイスへの不正アクセスなど、法律に違反する方法で情報を収集する行為。
たとえば、ある探偵がクライアントの依頼により特定の個人を調査する過程で、その個人の自宅に盗聴器を設置した場合、これは明らかな違法行為です。
このような行為はプライバシーの重大な侵害と見なされ、被害者は法的措置を取ることができます。
訴訟を起こす際には、以下の点を証明する必要があります。
- 違法性の証明：調査が法律に違反していたこと。
- 被害の証明：違法な調査により精神的、物理的、または経済的な損害を受けたこと。
違法な調査を行った探偵に対する訴訟は、個人の権利を保護し、不法行為に対する抑止力を持たせる効果があります。
調査対象者は、自らの権利が侵害された場合には、法的措置を講じることが可能であり、適切な賠償を求めることができるのです。
2.探偵の合法調査と違法調査の範囲
探偵による調査が合法的な範囲内に収まるのか、それとも違法な侵害に踏み込んでいるのかを明確に区別することは、個人の権利を守る上で非常に重要です。
この章では、どのような行為が探偵に許される合法的な調査であり、どのような行為が法律に反する違法調査に該当するのかを具体的に解説します。
2-1.探偵の合法調査の範囲
探偵による合法的な調査活動は、多くの国で厳格な法律と規制によって規定されています。
合法的な調査範囲には、一般的に以下のような活動が含まれます。
尾行と張り込み
探偵業法に基づき、尾行や張り込みは探偵業務の正当な手法とされています。
これらの活動は、依頼された調査対象者の公共の場所での行動や動向を監視することを目的としており、特定の個人に対する悪意や嫌がらせの意図がない限り、法的に認められています。
聞き込み調査
探偵は対象者の知人や関連する人物に対して、事実関係を把握するための面接を行うことができます。
これには、特定の情報を明らかにするための質問が含まれますが、詐欺や偽証に該当しない方法で実施される必要があります。
公開情報の収集
探偵はインターネット、公的記録、新聞、雑誌など、公にアクセス可能な情報源からのデータ収集を行うことができます。
このプロセスには、住民票や戸籍などの個人情報にアクセスすることは含まれません。
写真撮影と映像記録
証拠収集の一環として、公共の場での写真撮影や映像記録が行われることがあります。
これは対象者が公の場にいる際に限られ、プライバシーの侵害につながるような状況下での秘密撮影は法律によって禁止されています。
探偵が実施するこれらの合法的な調査方法は、すべて依頼者との契約に基づいており、探偵業務を適正に行うための規範と法律に則っています。
また、探偵は依頼を受けた際、その調査の正当性を慎重に評価し、違法な目的や手段を利用しての調査は行わないことがプロフェッショナルとしての責任とされています。
2-2.探偵の違法調査の範囲
探偵業務における違法な調査行為は、個人のプライバシー侵害や法律違反につながるため、厳しく制限されています。
以下に、探偵が行ってはならない違法な調査活動の範囲を解説します。
不法侵入
探偵が対象者の私有財産に許可なく立ち入る行為は、不法侵入と見なされます。
これには、住宅、オフィス、または車内など、個人が管理・所有する空間が含まれます。
盗聴および盗撮
対象者の知らないところで音声や映像を記録する行為は違法です。
これはプライバシーの侵害とされ、迷惑防止条例やその他の法律によって禁じられています。
個人情報の不正取得
探偵が対象者の個人情報を、その人の同意なく、または違法な手段を使って入手することは禁止されています。
特に、銀行の口座情報、医療記録、個人のデジタルデータへのアクセスなどが該当します。
ストーカー行為
対象者を繰り返し追跡し、その生活に著しい不安や恐怖を与える行為はストーカー行為に該当し、法律によって厳しく罰せられます。
虚偽の身分や権威の使用
探偵が警察官やその他の公務員など、正当な権威を持つ人物になりすまして情報を取得することは、偽証や詐欺に当たり違法です。
探偵をつけられたら精神的苦痛で訴えられる？のまとめ
探偵による調査がもたらす精神的苦痛について訴える可能性には、その調査が合法か違法かという点が重要です。
探偵が法律の範囲内で行った調査（例：公の場での行動監視、合法的情報収集）は、訴訟の対象にはなりにくい。
正当な目的で、適法な手段を用いた調査は、一般的に許可されています。
プライバシーの侵害（例：不法侵入、盗聴、デジタルデバイスへの不正アクセス）が含まれる場合、これは違法であり訴訟を起こすことが可能です。
違法な方法で収集された情報に基づく調査は、精神的苦痛を含む損害賠償の請求対象となり得ます。
このように、探偵による調査が合法的な範囲を逸脱している場合にのみ、精神的苦痛で訴えることが可能です。
調査の合法性を理解することが、個人の権利を適切に守るための鍵となります。
